脇指 三島菰池畔榎本貞吉 昭和丁未年春日
榎本貞吉は、本名を榎本吉市、明治四十一年(1908年)に徳島県で生まれ、昭和三年(1928年)に大坂の月山貞勝に入門、昭和十八年(1943年)に静岡県三島市へ移住し以後同地で作刀した。昭和五十六年より無鑑査待遇、平成八年に無鑑査となった。
貞吉は、人間国宝となった月山貞一、高橋貞次と並び貞勝門を代表する門人の一人であり、殊に貞次とは、『鍛えの貞吉、彫りの貞次』と並び称された。
本脇指は、昭和四十二年(1967年)貞吉五十九歳の時の作刀で、鍛刀地の菰池は、静岡県三島市大宮町にある池で、池の湧水が三島市内を流れる桜川の水源となっている。
この脇指は、南北朝期の相州伝の写しで、鍛えは板目に荒沸がつき、地景は入る。刃文は、互の目に足、葉は入り、砂流し、金筋かかり、匂口明るい。茎の状態も良く、鑢目も鮮明で、銘も鏨枕立ち、覇気のある優品である。






